ピルの服用について

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PCOSにおいて主訴となることが多い不妊と月経異常ですが、そこには排卵障害がともなっています。

したがって女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを含有するピル(経口避妊薬)は、PCOSの治療にも用いられます(「多嚢胞性卵巣症候群の治療法」を参照)。具体的には、妊娠を望まないPCOS患者に対して、ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンの作用によって、周期的な月経を人工的に作りだすホルモン療法の一種です。目的は子宮体がん予防と月経の周期性の回復にあり、国内における臨床研究でも有効性が確認されています。

ピル基本的な原理と目的はカウフマン療法と共通ですが、ピルはホルモン含有量が少なく、より安心して長期にわたって服用できるという意見もありますが、この点についての臨床評価は確定していません。ピルそのものの普及率が高くない日本では、この低用量ピルを用いた治療が一般的である欧米と比べて、まだまだ多少の心理的抵抗はあるかもしれません。しかし、ピルによってPCOSのLH高値を是正すると同時に、将来的に妊娠のタイミングをコントロールできるようになるとすれば、PCOS患者のQOL向上にとっては大いに有効であり、今後も臨床研究の進展に期待したいところです。

 

一部のピルに含まれる副作用である抗アンドロゲン作用を使って、多毛に対して用いることもあるようです。ただ、この場合には男児妊娠時の催奇性があるとされるので注意が必要です。当然のことですが、ほかにも糖尿病の増悪や血栓症といったピルそのものの副作用については維持する可能性も高いと考えられます。

 

また、ふだんからピルを常用していてPCOSと診断された場合、ピルの作用は病気の作用や他の治療との関連性・相互作用が強いものなので、医師の指示を受けなければいけません。いずれにせよ、自己治療などは行わず、担当医の指導のもとで適切な治療を受けてください。





補足:漢方薬について

漢方薬PCOSにおける月経異常を、ホルモン剤を使って治療する代わりに、血や気の流れの滞り(お血・気滞)ととらえたり、排卵しにくい体質そのものを変えたりする目的で、漢方薬を使うという選択も中医学では行われます。ある臨床研究では、クロミフェン無効(効かない)のPCOS患者に対して、柴苓湯を併用することによって11症例中6症例で卵胞発育および排卵周期が認められ、うち3症例については妊娠が成立したとの結果が出ています。柴苓湯は小柴胡湯と五苓散の合方で、気滞や水滞を治すと言われています。産婦人科の領域では、妊娠浮腫や習慣流産に対して有効性が確認されているものです。どのような漢方薬が処方されるかは、個人の状態に応じて決まっるので一概には言えませんが、漢方薬がPCOS治療に関して既存製剤や治療法とともに期待されていることも事実です。





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